LYST's コラム|株式会社LYST

【LYST】SOCとは?中小企業に監視体制は必要か|SIEM・MDRとの違いも解説

作成者: 【LYST】株式会社LYST|2026.03.09

なぜ今、中小企業にも「監視体制」が必要なのか

 

サイバー攻撃というと、「大企業が狙われるもの」というイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし実際には、近年の攻撃の多くは中小企業も対象になっています。

(参考)迫る!経産省「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」とは?〜発注者・受注者が今すぐ知るべきポイントを徹底解説〜

その理由の一つは、「防御が比較的弱い企業を狙う」攻撃が増えているためです。大企業はセキュリティ投資を進めていることが多い一方で、中小企業では対策が十分でない場合も少なくありません。攻撃者にとっては、そのような企業が格好の標的になるのです。

また、もう一つの問題があります。それは、侵入されても気づかないケースが多いという点です。従来のセキュリティ対策は、「侵入させないこと」を前提としたものが中心でした。しかし現在のサイバー攻撃は高度化しており、完全に防ぎきることは難しいと言われています。

そこで重要になるのが、「侵入されたとしても、早く気づいて対処できる体制」です。こうした監視体制の中心となるのが、SOCと呼ばれる仕組みです。

本記事では、SOCとは何か、そして中小企業にとってなぜ重要なのかを、SIEMやMDRとの違いも含めて分かりやすく解説します。

 

 SOCとは何か?ひとことで言うと「セキュリティの見張り役」

 

SOC(ソック)とは、Security Operation Center(セキュリティ・オペレーション・センター)の略で、「24時間365日体制で、企業のネットワークやデバイスに不審な動きがないかを監視し、サイバー攻撃の兆候を検知・対応する体制のことを指します。

イメージしやすい例で言えば、SOCは「企業のセキュリティを見張る監視センター」のようなものです。防犯カメラの映像をモニター室で常に見守り、不審者が侵入した瞬間に「これは外部の人間だ」「鍵をこじ開けようとしている」と判断する警備員の役割を果たします。

企業のネットワークやサーバー、パソコン、クラウドサービスなどでは、日々さまざまな通信や操作が行われています。その中には、攻撃の前兆や不審なアクセスが含まれることがあります。SOCでは、それらの情報を監視し、異常が見つかった場合には原因を調査し、対応を行います。

SOCの主な役割は次の通りです。

  • セキュリティログの監視
  • 不審なアクセスの検知
  • インシデントの分析
  • 被害拡大を防ぐための対応

つまりSOCは、単なるツールではなく、「監視・分析・対応を行う体制そのもの」を意味します。「入られないようにする(防御)」だけでは限界があるため、「入られた後にすぐ気づき、被害を最小限に抑える(検知・対応)」ための司令塔としてSOCが不可欠となっているのです。

 

 SIEM・MDRとの違いを整理する

 

SOCを検討する際、よく一緒に出てくるのがSIEMやMDRという用語です。これらは似ているようで役割が異なります。まず、

●SIEM(シーム):SOCが使う「高度な分析ツール」

 正式名称  Security Information and Event Management 
 役割 

企業のシステムから発生する膨大なログ(記録)を集め、リアルタイムで分析するシステムです。

サーバー、ネットワーク機器、パソコン、クラウドサービスなどのログを集めて相関分析を行い、異常の兆候を見つけるために利用されます。 

 SOCとの関係 

「SIEMという高性能な道具」を「SOCという専門家」が使いこなすという関係性です。

SIEMはあくまで「ログを集めて分析する仕組み」です。実際にアラートを確認し、原因を調査し、対応を判断するのは人の役割になります。そこで必要になるのがSOCです。 

●MDR(エムディーアール):SOCの「外注パッケージ」

 正式名称   Managed Detection and Response 
 役割  自社にSOCを作る余裕がない企業向けに、外部のベンダーが監視・検知・対応を代行するサービスです。企業が自社でSOCを持つ代わりに、外部の専門チームが監視や分析を行います。 
 SOCとの関係   「自社SOC」を持つか、「MDRという外部SOCサービス」を利用するかという選択肢になります。 

もうひとつ、
●SOAR(ソア):SOCを助ける「自動化ロボ」

 正式名称  Security Orchestration, Automation and Response 
 役割  脅威を検知した後の定型作業(通信遮断など)を自動化する技術です。 
 SOCとの関係 

SOCの業務を効率化し、対応スピードを上げるための補助輪のような存在です。

つまり、SOCは「体制」、SIEM、SOARは「ツール」、MDRは「サービス」という位置づけになります。 

 

 事例から学ぶ:SOCの有無が分けた「明暗」

 

机上の空論ではなく、実際に起きた(あるいは起こりうる)ケーススタディを見ることで、SOCの真の価値が浮き彫りになります。


事例1:【失敗例】「侵入に気づかず半年間放置」された中堅製造業 A社

    • 状況:セキュリティソフト(アンチウイルス)は導入していたが、監視(SOC)は不在。
    • 発生した事態:攻撃者が取引先を装ったメールで社員のPCに侵入。アンチウイルスソフトを巧妙にすり抜ける手法だったため、アラートは鳴りませんでした。攻撃者は半年間、ネットワーク内を自由に動き回り、機密性の高い設計図データや顧客リストを少しずつ外部へ送信し続けました。
    • 発覚の経緯: 警察からの連絡により発覚。すでにデータはダークウェブで販売されていました。
    • 経営的ダメージ: 取引先からの信頼を失い、一部の主要案件が打ち切りに。調査費用と対策費、さらには信頼回復のためのコンサルティング費用で、総額2億円以上の特別損失を計上することになりました。

    • 教訓: 「鍵(防御)」はかけていたが、「泥棒が中で動いていること(監視)」を誰も見ていなかったことが最大の敗因です。


事例2:【成功例】「外部SOC(MDR)の即時対応」で被害を食い止めたサービス業 B社

      • 状況:従業員100名程度。IT担当は1名のみ。自社SOCは予算的に厳しいため、月額制のMDR(外部SOCサービス)を導入。
      • 発生した事態: ある日曜日の深夜2時、海外のIPアドレスから、B社の基幹サーバーに対して不自然なログイン試行が繰り返されました。

      • SOCの動き: 監視チーム(MDR)のAIと専門アナリストが、この動きを「ランサムウェア攻撃の予兆」と即座に判断。あらかじめ取り決めていた手順に基づき、担当者が寝ている間に、該当サーバーの通信をネットワークから強制遮断しました。

      • 結果: 翌朝、IT担当者が出社したときには、すでに「脅威の遮断完了」のレポートが届いていました。一部のファイルは暗号化されかけていましたが、全体への波及はゼロ。事業への影響もありませんでした。

      • 経営層の評価: 「月数十万円のサービス利用料が、数億円の被害を防いでくれた。IT担当者が休日もスマホを気にしなくて済むようになり、離職リスクも減った」と高く評価されています。

※本事例は、IPA(情報処理推進機構)の公開資料や一般的なインシデント統計に基づき、典型的な被害・成功パターンをモデル化したものです。

 

 なぜウイルス対策ソフトだけでは不十分なのか

 

「セキュリティ対策はウイルス対策ソフトを入れているから大丈夫」と考えている企業も少なくありません。しかし現在のサイバー攻撃は、従来のウイルス対策だけでは防ぎきれないケースが増えています。

例えば次のような攻撃があります。

      • 正規アカウントを悪用する攻撃

      • フィッシングによる認証情報の窃取

      • 社員の操作を装った不正アクセス

      • 正規ツールを使った攻撃

こうした攻撃は、必ずしも「ウイルス」として検知されるとは限りません。そのため、ウイルス対策ソフトだけでは異常に気づくことが難しい場合があります。

そこで重要になるのが、システム全体の動きを監視する仕組みです。ログを監視し、不審な挙動を早期に発見できれば、被害が拡大する前に対処することが可能になります。

このような「侵入後の検知と対応」を担うのがSOCの役割です。

 

 中小企業がSOCを持つ方法(自社SOCと外部SOC)

 

では、中小企業もSOCを持つべきなのでしょうか。

結論から言えば、監視体制自体は重要ですが、自社でSOCを構築するのは簡単ではありません。

SOCを自社で運用する場合には、次のような課題があります。

    • セキュリティ専門人材の確保
    • 24時間監視体制の構築
    • SIEMなどのツール導入
    • インシデント対応のノウハウ

これらをすべて自社で整備するのは、多くの中小企業にとって現実的ではない場合もあります。

そのため近年では、外部のSOCサービスやMDRを利用する方法が広く採用されています。専門のセキュリティチームが監視を行い、異常が見つかった場合には企業に通知し、必要な対応を支援します。

自社ですべてを抱え込むのではなく、外部の専門サービスを活用することで、現実的なコストで監視体制を整えることが可能になります。

 

 守れる会社”になるための第一歩

 

サイバーセキュリティ対策というと、「高度なツールを導入しなければならない」と思われがちです。しかし実際には、最初からすべてを整備する必要はありません。

重要なのは、自社の状況を把握し、段階的に対策を進めていくことです。

例えば、

            • 現在のセキュリティ対策の棚卸し

            • ログの取得状況の確認

            • 外部監視サービスの検討

といったところから始めるだけでも、大きな一歩になります。

サイバー攻撃のリスクが高まる中で、企業を守るためには「侵入を防ぐ対策」と同時に「侵入に気づく体制」を整えることが重要です。SOCは、その中心となる考え方の一つと言えるでしょう。

 

★自社のセキュリティに不安を感じている方は、LYSTにお気軽にご相談ください。★