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執筆者の写真KENJI KAMEKAWA

# 新型コロナウィルス蔓延による経済対策について

更新日:2021年3月22日





2020年初頭から大きな外的要因によって、経済状況は混乱・麻痺を極め、一般消費及び一般生産活動の停滞~自粛への流れは全ての人々に大きなインパクトと様々な対応を迫っている。結果、国家としての策が実施されようとしている。

日本国内では、全企業数359万社が存在し、その内訳の99.7%が中小企業である(2016年総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」より)。

2020年版中小企業白書・小規模企業白書の概要: https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200424002/20200424002-2.pdf




今、この日本の経済を支える中小企業に対しての経営支援が急務となっている。 ここで、中小企業の定義について整理すると、会社法に基づくものは「資本金5億円以下、負債200億円以下」となっている。今回の経済対策の対象となる中小企業はどうだろうか。例として厚生労働省の「テレワーク支援策」における大綱には「資本金3億円以下、従業員2人以上300人以下」となっている。ここにギャップが生じているのはなぜか。更には、中小企業だけではなく、個人事業主等はどうなっているのか。(ここでは、株式公開企業を除くこととする。)


今月に入って、数社の経営者から相談をされた。それは「助成金・補助金・給付金・融資等の手続をするにはどうしたらいいのか。」というものである。 これはまったく他人事ではなく、今後の見通しも含めどうすべきか、現在得ている情報でそれらを整理することとした。


まず、企業として何を準備しておくべきか。

一般的に、個人・法人問わず身分証明及び本人確認の為の公的書類(住民票・登記簿謄本の写し・印鑑証明)などに加えて、納税証明書などが必須となる。更に、各種保険料の納付(国民年金・社会保険)に加え、企業の場合は雇用保険納付証明等も必要となる。ここまでは、経営の基礎知識として理解はできる。


そして、経済活動の維持・継続に必要な資金調達をする為の必要書類(エビデンス)として、3期分の決算書類や、業績対比表(前年度との実績対比や売上推移・見込み等)の経営実態管理に関するものが必要となる。理由は、需給側の情報開示であり、追加資金調達の必然性の証明でもある。

ここまでが、すべての事業主に求められる最低限のアウトプット(準備)でありこのアウトプットをいかに早く揃えるかが、今後のアクションとスケジュールの基本となる。





次に、どのような形態で資金調達を狙うかという事である。①助成金・②補助金・③給付金・④融資の中で、何を優先して申請・交渉を進めるべきか。

一般的には①、②が優先される場合が多いが、実態はそうではない。更に現在の状況における③については、マスコミも含め大騒ぎしているが、果たして本当にそれが最良の選択なのか。そこで、まず①~③におけるお金の流れを考えてみる。


最初に、政府主導の経済対策の大枠及び予算の構造を考える。そもそも、今回の外的要因の有無にかかわらず、中小企業に対する政策の構造に大きな課題があるのではないかと考える。それは、国家予算の全体としては、XXX兆円と打ち出しはしているが、その扱いについて、縦割り行政である管轄省庁毎に、個別の概要・大綱等が出されており前述の資金調達の種別ごとに、申請する側が理解し見極めたうえで申請作業することとなる。そしてこの窓口が地方自治体~市区町村の受付窓口となっている。その受付窓口において、前述の縦割り管轄省庁毎に細かく分かれ、資金の種別毎にその窓口が異なる構造となっている。


現在の事態において、この窓口での受付業務には民間の支援(パートタイム人員)を配し、中小企業診断士や税理士、行政書士等の公的資格者を活用している。これらの人員も最低基準賃金での請負の形と推察されるが、予算全体の中に含まれていると考えると、政策予算全額が受給者に落ちてくるわけではなく、それも含めて費用としているようである。


中小企業の事業主にとっての課題は「どこに、何を、どのように申請すべきかの情報開示や業務・作業の容易化」である。現実には、前述した事業主の基本的準備と同時に、該当する①~③の迅速な申請から給付までの流れが非常に理解しづらい状況である。


更に、④に関して間接金融(銀行等)からの融資における斡旋においても、自治体から発行される承認・証明等に該当する書面の取得が大変煩雑な業務となっている。④においては、直接金融(投資機関)からの調達も視野には入るが、現在の厳しい状況では、新規に交渉することは非常にハードルが高い。逆に、特定の業界や業種においては、株価・為替の予測を元に資金が偏ってしまうことも予想される。



ここで、2020年3月5日に厚生労働省から出された「テレワーク」関連の助成金の大綱を見ると、その最終的な判断材料は「雇用保険の納付状況」となる。果たして多くの中小企業がこれに対応できているかどうか。言い換えると、全ての中小企業を救済するという大義名分とは裏腹に、用意・計画された政策資金が100%活用され、本来の目的を実行するという意図が感じられない。他の種別の政策資金も同様で、継続的に実施されている「ものづくり」「IT支援」「事業継続」「新規事業支援」等も従来通りの業務フローに大きな変更はなく、審査基準が緩和されたことと、対象範囲の条件に項目が追加された程度で、これまで通りの申請作業は必要となるようである。つまり、資金は用意されているが、それを受けるまでの流れはほぼ大きな対応策や変化が見られないのである。





この状況で、事業主は苦しみ耐え抜き、工夫しながら日々過ごしている。もし、ここで何か大きな抜本的な施策案を出すとすれば、用意された政策資金の回し方を変えることではないだろうか。例えば、④の融資における抜本的支援策として、融資に関わる金利と保証料をこの政策資金で100%充当することとすると同時に、融資の仕組とその対象を新たに企画し、資金の流れの窓口を全国の金融機関に振分けることはできないだろうか。


ここで課題となるのが情報の公平性に当たる信用度である。しかしながら国政の財源そのものは税であり、その税をどのように活かすかという点に立ち返ると、最低限の信用度の審査基準は、本人確認と納税の2点ではないだろうか。自分の企業融資を受けた拙い経験からすると、民間の保証機関の承認を受けた直後に、必ずと言っていいほど金融商品や投資の電子メールによるDM等が数多く送られてくる。どう考えても、接点のないような相手であり、なぜ自分のメールアドレス宛に送られてくるのかが理解できない。つまり、信用調査そのものにも恐らくは幾つもの欠陥があり、情報流出やリストの売買が行われていると推察される。

また、この混乱と危機を乗り切るために、日々の経済活動の維持・継続において、資金使途の対象や範囲を細かく定める必要があるのだろうか。事業主にとっては、どんな支出(キャッシュアウト)でもそれに優先順位は付け難いはずである。引いた目線で言えば、経済全体の流れにおいて円滑な資金の流れそれ自体が、経済状況の維持・継続を可能にするものと考える。よって、今のままの流れでは経済規模そのものが縮小していくのではないか、ということが一番の脅威とも思える。 流れ始めた資金使途が何であれ、不正や犯罪に流用されない限り資金そのものは何に使われてもいいのではなかろうか。ヒトの体内を流れる血液のごとく、企業にとっての資金は大変重要であり、その流れを止めてはならないからだ。

毎日のように、マスコミでは政府や自治体の対応を問い詰めるような報道が多く、芸能人や著名人の言動ばかりが目立つ。実際には、何も知らないのではないかとさえ感じられる。もっと実務者・当事者の目線で様々な思考を働かせた報道をすべきではないだろうか。





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