「UTMは入れているから大丈夫」——そう思っていませんか?
多くの中小企業で導入されているUTMですが、近年では「もう古い」「それだけでは守れない」といった声も増えています。では、UTMは本当に不要になったのでしょうか。それとも、使い方を見直すべきなのでしょうか。
本コラムでは、UTMの基本からメリット・デメリット、なぜ“古い”と言われるのか、その背景までをわかりやすく整理します。さらに、どんな企業に向いているのか、UTMだけでは不十分なケースとその対策についても解説します。
UTM(ユーティーエム)(Unified Threat Management;統合脅威管理)は、複数のセキュリティ機能を1台にまとめた「統合型セキュリティ機器」です。主に社内ネットワークの入口に設置し、外部からの攻撃や不正通信をまとめて防御します。
具体的には、以下のような機能を持ちます。
| ファイアウォール(通信の制御) | 不正な通信を遮断 |
| ウイルス対策(ゲートウェイ型) | 通信経路上のウイルスを検知・駆除 |
| 不正侵入検知・防御(IDS/IPS) | OSやソフトの脆弱性を突く攻撃をリアルタイムで監視・ブロック |
| Webフィルタリング | 業務に関係のないサイトや、有害サイトやフィッシング詐欺サイトへのアクセスを制限 |
| VPN(仮想専用線) | 外出先や自宅からの社内ネットワークへの安全なリモート接続 |
| アンチスパム(迷惑メールのブロック) | ウイルスメールやフィッシングメールを入り口で遮断 |
中小企業にとっては、「とりあえずこれ1台入れておけば基本的な防御ができる」という分かりやすさが大きな特徴です。
特に、これまでのコラムで触れてきた「メールやWebが入口になる攻撃」への対策として、ネットワークの“入口”を守る役割を担います。
(参考)メールとWebが一番狙われる理由とは?中小企業がまず強化すべき「入口対策」
UTMは長年にわたり、中小企業のセキュリティ対策の“定番”として使われてきました。その理由はシンプルです。
| ■① コストと運用のバランスが良い |
| 複数のセキュリティ機能を個別に導入するよりも、UTM1台でまとめた方がコストを抑えられます。さらに、管理画面も統一されているため、専門人材がいない企業でも扱いやすいというメリットがあります。 |
| ■② 導入が比較的簡単 |
| クラウド型の高度なセキュリティと比べると、UTMは「設置すればすぐ使える」タイプの製品が多く、導入ハードルが低いのも特徴です。 |
| ■③ “見える安心感”がある |
| 「入口で止めている」という実感を得やすく、経営層にも説明しやすい点も評価されています。 |
一方で、UTMには明確な限界もあります。ここを理解しないまま導入すると、「入れているのに守れていない」という状態に陥ります。
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■メリット(できること)
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■デメリット(できないこと)
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■注意点
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特に重要なのは、「UTMは入口対策であり、内部対策ではない」という点です。
例えば、社員がフィッシングメールに引っかかり、認証情報を入力してしまった場合、UTMでは防げないケースも多くあります。
この領域は、以前のコラムで解説したEDRやID管理(ゼロトラスト)などの対策が必要になります。
(参考)EDRとは?ウイルス対策ソフトとの違いをわかりやすく解説|中小企業のエンドポイント対策
(参考)ゼロトラスト──“信頼しない”設計が企業を守る
最近、「UTMはもう古い」という声を聞くことがあります。これはUTMが不要になったという意味ではなく、「守れる範囲が変わってきた」というのが正確な理解です。
背景には、企業のIT環境の変化があります。
| ■① クラウド利用の拡大 |
| 以前は社内ネットワークの中にシステムがありましたが、現在はクラウド(例:SaaS)利用が主流です。社外のクラウドへ直接アクセスする通信が増えたため、わざわざ社内のUTMを経由させるとネットワークが重くなり、業務に支障が出るようになりました。 その結果、「入口を通らない通信」が増え、UTMだけではカバーできない領域が広がりました。 |
| ■② テレワーク・モバイル化 |
| 現在はテレワークが普及し、社員が社外(自宅やカフェ、シェアオフィスなど)から直接クラウドにアクセスするケースが増え、UTMを経由しない通信が一般化しています。 |
| ■③ 暗号化通信の増加 |
| 現在の通信の多くはHTTPSで暗号化されており、中身を検査しにくくなっています。 |
| ■④「ゼロトラスト」という考え方の台頭 |
| 「社内は安全」という前提を捨て、どこからのアクセスも信用せずに毎回検証する「ゼロトラスト」という考え方が主流になりました。この文脈において、境界を守るUTMは「旧世代の技術」と見なされることがあります。 |
このように、「ネットワークの入口で守る」という前提自体が崩れてきたため、UTM単体では不十分とされるようになっています。
では、UTMはもう不要なのかというと、決してそうではありません。今でも有効なケースは多くあります。
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■UTMが向いている企業
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このような企業にとって、UTMは「最初の防御ライン」として非常に有効です。
特に、まだEDRやSOCなどを導入していない企業にとっては、UTMは入口対策の基盤となります。
一方で、以下のような企業ではUTMだけでは不十分です。
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■UTMが合わない(不足する)企業
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この場合は、「UTMをやめる」のではなく、「UTMに加えて対策を拡張する」という考え方が重要です。
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■代替・補完となる対策
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つまり、UTMは“単体で完結する時代”から、“組み合わせて使う時代”へと変わっています。
(参考)EDRとは?ウイルス対策ソフトとの違いをわかりやすく解説|中小企業のエンドポイント対策
(参考)クラウド利用が増えた企業が見落とすリスクとは?|CASB・CSPM入門
(参考)ゼロトラスト──“信頼しない”設計が企業を守る
(参考)SOCとは?中小企業に監視体制は必要か|SIEM・MDRとの違いも解説
UTMは確かに昔からある技術ですが、それ自体が不要になったわけではありません。
重要なのは以下の理解です。
中小企業にとっては、「何から始めるか」が非常に重要です。
UTMはその第一歩として適していますが、「入れて終わり」ではなく、その先の運用や追加対策まで含めて考える必要があります。
これまでのコラムで解説してきたSOCやEDRと組み合わせることで、はじめて“守れる会社”に近づいていきます。
「うちの会社にはどのモデルが最適?」
「今のUTMを使い続けていいの?」
と迷われたら、ぜひLYSTへご相談ください。貴社に合わせた、過不足のない現実的なセキュリティプランをご提案します。